思い出クリーンプロジェクト

「思い出クリーン プロジェクト」は、私たち愛知ボラセンが活動している、気仙沼市小泉浜ボランティアセンター(通称はまセン)や、渡波小学校で集められた写真や思い出の品々をお預かりし、カビや泥を落とし、持ち主さんへお返ししようというプロジェクトです。

―思い出クリーンプロジェクト 総括―

今回、名古屋でもできるボランティア活動として進めて来た「思い出クリーンプロジェクト」の総括をさせて頂くにあたり、まず愛知ボランティアセンターの活動を応援してくださっている方々にお詫びを申し上げなければなりません。

ご存知の方も多いかと思いますが、思い出クリーンプロジェクトは、5月末で物資の募集が終了した後の、東別院での活動の大きな柱の一つでした。
しかし、6月初めに二回程活動した後、本格始動の延期をお知らせしたまま、何の情報更新もないまま本日に至る結果となってしまいました。
思い出クリーンプロジェクトにご関心を頂き、活動の再開をお待ち頂いていた方々のご期待に添う事ができず、本当に申し訳ございませんでした。

このような事態になってしまった大きな要因として、この活動に対しての準備、シュミレーションの甘さが挙げられると思います。
具体的には、お預かりしてきた写真やアルバム、掛け軸や絵画、その他思い出の品々の扱いが、私たちの想像以上に繊細なものであったということです。
海水に濡れ、張り付いてしまった写真やアルバムをはがすために水につける必要があるのですが、ものによっては水につけると塗料が取れて写真が消えてしまうものがあったり、アルバムの中にメモや切手、手紙などが入っているものがあり、安易に水に浸けることができなかったり、掛け軸や絵画などの美術品はそもそも水に浸けるべきかどうかの判断にも迷う事態となりました。
さらに、
① 被災者の方々の大切な思い出の品をお預かりしているため、誤って写真を消してしまうなど、取り返しのつかない失敗が許されず、物資の仕分けの活動のように間違えてもやり直しがきく作業ではなかった。
② 大人数でバラバラに作業すると、どのアルバムの誰の写真かごちゃごちゃになってしまい、収集がつかなくなってしまう。そのため、少人数で一つのアルバムに みんなで取り組む事しかできず、不特定多数のボランティアさんが都合のいいときに来て短い時間でもOKというような形での参加の仕方が難しくなってしまっ た。
③ 写真一つ一つ汚れの程度が違う事に加え、ボランティアさん一人一人の性格や考え方の違いにより、どこまできれいにすればよいか、きれいにできるのかの基準点を定める事が、非常に困難であった。言い方を変えれば、どの程度までやればよいかという妥協点を決めなければ作業は進められないが、その妥協点をどこに設定するかがものの状態、作業するボランティアさんによってバラバラで、大人数での意思統一が非常に困難であった。
というように、次々と問題が発生してしまいました。

しかし、思い出の品々を既に預かってきてしまっている以上、そのまま返す訳にもいかず、結局私たちは5月以降もボラセンに継続的に来て頂けたボランティアさんを中心に少数精鋭のチームで細々と活動を行うという決断を下しました。
そして6・7・8月の火・木・日を使って、少しずつ作業を進めてきました。
そして9月に、一部プロの写真屋さんに作業をお願いしているものを除いて、私たちにできる作業が全て完了し、思い出の品々の持ち主の方に無事お返しすることができました。

また10月には写真屋さんにお願いしていたものもできあがり、お預かりしていた全ての品々をお返しすることができました。
そこでこのプロジェクトの中心メンバーとして活躍してくださったボランティアのT.M.さんとY.M.さんから活動の区切りに際して感想などお話を伺いましたので、以下にご紹介したいと思います。

今回このプロジェクトを率先して進めてくださったボランティアのT.M.さんは過去に大切にしていたカセットテープを盗まれてしまったり、家が火事に遭ったり、二度と手に入らない大切な思い出の品を失うという辛い経験をされました。
その時の悲しさ、虚しさ、切なさ。
そしてそんな状況にある自分を気遣ってくれた人たちの優しさ。
こういった経験をした分、今回の津波で思い出の品がだめになってしまったと思っている方々の辛さもわかるし、自分がしてもらって嬉しかった分、今回その優しさを相手は違えどこの活動を通して恩返ししたいという想いが強かったそうです。
また、被災者の方々を応援する方法として、義捐金を集める事も大切だとは思うけれど、何に使われるか不透明な義捐金より、物資を集めて必要としている方々に 届ける、思い出の品をお預かりしてきれいにしてお返しするなど、実体のある、ダイレクトに被災者の方々につながる活動だということ。
名古屋でもできる事という命題に対して、仕事などの関係で被災地に応援に行けない人にとって、これならできると思える、本当にやりがいのある活動だということ。
◯◯さんしかできない活動というのもたくさんあるけれど、自分ならできると思わせてくれる活動だったこと。
写真の泥を落としてみたら赤ちゃんの顔が見えた時の感動。
こういったことが、モチベーションにつながったそうです。
また回を重ねるごとに、この活動に関わるメンバーですごくいいチームを作っていくことができたそうです。
例えば、細かい作業が好きな人・整理整頓が得意な人というように、メンバーそれぞれが自然と得意分野に分かれて作業できたり、投げ出しそうになっても周りががんばっているから投げ出せなかったり、チーム作業だから誰か一人が変なストレスを抱えることもなかったり、固定メンバーでチームワークを高めることができたからこそ、お互いを認め合って活動できたそうです。

ここで、具体的な活動内容について触れたいと思います。
少数精鋭とはいえ、最初は試行錯誤が続き、少しずつ経験を重ねる中で感覚と判断基準が磨かれていったそうです。
結果できあがったフローチャートは以下の通りです。

1仕分け→状態によって、泥落としだけしかできないもの、水につける必要があるもの、もう手がつけようがないもの、軽く拭くだけで大丈夫なものに分ける。
2集まっているメンバーの人数、曜日によって作業内容、優先順位を決める。(基本その日の作業はその日のうちに完了し、よく活動日に持ち越しはしない。どうしても終わらない場合でも火・木のセットで完了するようにする)
3こびりついてはがせないもの→水につける。ただしつけすぎると台紙がだめになってしまうため、見極めが必要。すごく繊細。
4顔を中心に汚れを落とす。とにかくまず顔がしっかり見えるように。
5干す。
6元のアルバムの順番に並べる。

切手、入場券、手紙、メモなどがあれば、ピックアップ。
何も手が加えられなかったものも基本全て残す→作業のビフォーアフターがわかるように

潮水ですでにインクが正常に定着しておらず、刷毛で軽く拭くだけで写真が消えてしまう事も多々あるので、作業時は集中し、慎重に進めなければいけない。

また活動を通して、この活動への参加者の条件も規定されていきました。
1、継続的に参加できること。
2、活動時間内は最初から最後まで基本的にいることができること。
3、定員制とし、参加希望者が多い時は別の日を指定させて頂く可能性もある旨を伝える。
やはり上記の活動内容を鑑みても、応援物資の仕分けボランティアの時のように「いつでも来れるときに来るでOK」「1〜2時間でもOK」というスタンスで活動することは困難であると考えられます。

それでは、愛知ボランティアセンターらしい活動ではなくなってしまいますし、他にも現地ボランティアやワンコイン・サポーターズなどの活動がある中、私たちにできる活動のレベルを超えている、そう私たちは判断しました。
以上のことより、私たちは思い出クリーンプロジェクトに関しましては、6月当初第一便でお預かりしてきた思い出の品をお返ししたことをもって、このまま終了とさせて頂きたいと思います。
この活動をご支持くださっていた皆様、活動再開を辛抱強くお待ちくださっていた皆様、本当に申し訳ございませんでした。
今後も愛知ボランティアセンターは、ここ愛知で、私たちにできることを、精一杯続けていきたいと考えています。
皆様の変わらぬご協力を、何卒よろしくお願いいたします。

愛知ボランティアセンター
事務局次長 宮垣雄樹